日本企業と中国企業をインターネットでつなぐ、貿易ビジネスマッチングサイト「MADE-IN-CHINA.CO.JP」。言語の心配をすることなく、お互いの国での事業パートナーを探せるというこのサイトの特徴とは。そして運営するネットチャイナの戦略は。日中間貿易に詳しい林立氏率いる同社の考えを探った。
日中の貿易を促進するWEBサイトを運営
中国から製品を仕入れたい。日本のモノを中国に売りたい。中国ビジネスに参入したい…。そう思ったとき、あなたならどうするだろうか。中国で仕事をしている知人でもいれば話を聞くこともできるだろうが、なかなかそうもいかない。となると、まず頼るのはインターネットだろう。そこで注目されるのが、株式会社ネットチャイナが運営する日中貿易BtoBサイト「MADE-IN-CHINA.CO.JP」(以下、メイドインチャイナ)だ。このサイトは、二○○七年十月にスタートした、日中の貿易を望む企業をマッチングするサービスや、中国ビジネスに関する情報を提供するWEBサイトだ。
「日中間でビジネスを営んできた私自身の経験を元に、日中貿易の仲介役となるサイトをつくろう、と思い立ちました」と代表取締役の林立氏は語る。中国企業の多くは、輸出をする場合、まず欧米企業との取引を考えるそうだ。それは、言葉の問題が大きいことと、日本市場に関する情報が入手しにくいことなど「架け橋」がないが一因だという。これは日本から見ても同じ。そこで、日中両国の企業に、お互いの市場を理解してもらい、企業同士の出会いを仲介することで、日中貿易をさらに発展させたいと考えたのだという。
「現在すでに中国の中小企業二千三百万のうち、約三○%はネットを利用しています。さらにインターネット利用率が飛躍的に伸びていることから、潜在的な市場はとても大きいのです」と林氏は語る。また、WEBサイトをつくることで、自分たちの人手だけでは扱えないほど多種多様な製品、情報を取り扱えるようになったことも、大きなメリットがあるという。
サイト名は、インパクトがあり、わかりやすい名前がいいということで、「メイドインチャイナ」に決定。WEBサイトの開発は中国で行ったそうだ。
言語の問題をはじめ、日中貿易の障壁をクリアするためのサービスとは
林氏はもともと、靴メーカーの代表として二○○一年から日中貿易に携わってきた。その経験によれば、中国の会社と取引しようとすると、まず言語の問題が生じるという。単に連絡や打ち合わせで困るというだけではない。例えば、製品のパッケージや説明書をとってみても、中国メーカーは普段から中国語版や英語版は用意していても、日本語版をあらかじめ準備をしているところは少ないという。日本企業は品質に厳しい、とか、日本独自の商習慣があって馴染みにくいということもあるだろうが、単純に言葉の問題で取引がしづらいと思われているのが現実だという。
「メイドインチャイナ」では、スタッフによる翻訳や、自動翻訳システムを活用し、言語の違いを意識せずに利用できるよう工夫している。オンラインで受け付けた自社への問い合わせも、内容が自動で翻訳されて届くので便利だ。さらにはオプションで、現地スタッフによる有人通訳・翻訳サービスも利用できる。もちろん、中国向けに自社製品をPRする場合にも、中国語に翻訳された情報がサイトに掲載されるようになっている。このように、取引の第一歩でつまずきがちな言葉の問題を、メイドインチャイナではうまくクリアしている。
ただ、言語の問題をクリアしても、決済の不安や品質の不安など、WEB上だけで取引を決めるには少々抵抗があるというのも事実だろう。
そこで、ネットチャイナは、オンラインサービスに加えて、オフラインでのオプションサービスを充実させている。先に述べた翻訳・通訳はもちろん、相手国企業の視察や、希望すれば中国企業の信用調査や貿易実務、代金の回収まで面倒な問題をサポートしてくれるのだ。むろん、それぞれに料金はかかるが、ネットやメールだけではなく、電話や直接会っての取引まで、ネットチャイナでサポートしているというところがポイントだ。初めて中国ビジネスに取り込む場合にも心強い。また、これらのサービスはわかりやすい料金設定がサイトで確認できる。例えば、中国企業の信用調査を日期分頼むと、税込で三六七五○円と明確に表示されているので安心だ。
「ネットだけで企業のマッチングを行っているWEBサイトは他にもありますが、実際問題として、企業同士のやりとりを、全くお互い知らないところからネットだけで進めるとなると、なかなかうまくはいきません。私たちは、お客さまと中国企業との間に入って、実際の取引や決済までサポートすることにも対応しています。ここまでやって初めて、日中の貿易を促進するお手伝いができると思うのです。他のサイトでは、実務面まではなかなか面倒を見てくれませんからね」と語る林氏。貿易実務の豊富な経験を持ち、日本・中国両国のビジネススタイルを熟知している林氏とネットチャイナがサポートすることで、自前で貿易をした経験のない中小企業であっても、国境を超えたビジネスが用意にできるようになるのだ。
もうひとつ、メイドインチャイナには、特徴的な部分がある。それが「OEM製造」の情報が充実していることだ。このサイトはショッピングサイトではないから、具体的な商品を選んで購入する、ということは今のところできない。いずれは小ロットでの卸売にも対応する予定とのことだが、このサイトではOEM生産するパートナーを探せるように特化しているのだ。
「サイトにはOEMコーナーもあって、そこに掲載されている品目は、当社が中国国内で厳選した提携メーカーに製造を依頼するサービスです。品質的にも問題がない、日本向けふさわしいメーカーだけを掲載していますから、初めての場合でも安心してご依頼いただけますよ」という林氏。製品のジャンルにもよるが、中国国内で企画・製造したものは、日本にそのまま持ち込んでも売れないことがあるのだとか、綸旨によれば「安く、売れる商品を仕入れよう思ったら、企画は日本で行って、それを中国の信頼できる工場でOEM生産のがおすすめです」とのことだ。
今後の日中間のビジネス動向とネットチャイナの目標
ここ数年、労働省の賃金が上昇するなど、今後中国が「世界の工場」の地位に居続けられるのが不明瞭だという話もあるが、ネットチャイナでは中国における製品の生産はまだまだ増えていくだろうという認識を持っている。
それによれば、大手メーカーの一部は工場を東南アジアに移転することもあるだろうが、多くのメーカーにとっては中国で生産したほうがメリットがあるだろう、ということだ。インドやアフリカなどを含めても、日本に近くて運送コストが安く、資材が豊富にあるのは中国くらいしかない。このメリットを上回る好材料がその他の地域にない限り、多少賃金が上がっても中国の生産が大幅に減るとは思えない、ということだ。
「今や中小企業も中国で仕入れる時代ですから、中国経済と日本経済の結びつきが減るとは考えにくいですね。中国の各企業から見ても、日本市場はかなり上梓しています。欧米と比べても安定性が高い日本お市場は魅力的ですから」というのが林社長の見解だ。
また、中国の消費力も上がっており、いずれはメイドインジャパンの製品を中国がどんどん輸入するという方向に変わっていくかもしれない、とも林氏は語った。現在は、電気製品やアパレル関係、化粧品などの日本ブランドがかなり人気が高いというが、今後はそれ以外の製品にも中国消費者の目が向くことだろう。こうしてみると、日中間の貿易は増えこそすれ、、減ることはなさそうである。
さて、WEBサイト「メイドインチャイナ」は二○○七年のオープン以来順調にユーザー数を伸ばしているが、今や日中両国のバイヤー・サプライヤーを合わせて、なんと二十万アカウントの登録があるとか。中国側のユーザーは、いわゆるサプラヤーが多く、さまざまな業種に会員は広がっているものの、強いて言えばアパレル関係が多いとのこと。一方日本側の会員は、メーカーや商社、問屋、店舗、個人まで幅広く、多くがバイヤーだとか。
「サイトの運営開始から二年、試行錯誤と実践を続けた結果、多くのユーザーを得ることができました。また、日中で取引を希望する企業のデータベースも充実してきました。ですが、まだまだ発展途上のサイトです。今までさほど大がかりな宣伝もしていませんし、これからもサイトの信頼感を醸成するためにもしっかりと事業を進めていきたいと思っています」と豊富を語る林氏。
同社では、二○○九年十月に中国のテレビでPRをするなど、二○○九年後半から大きく躍進がしたいと考えているはず。利用する側、日中間の取引に注目している中小企業にとっても、大きなチャンスが到来するかもしれない。
もちろん、宣伝だけではなくWEBサイトをさらに使いやすくするべく、改良も続けられるという。
「サイトは現在のかたちで完成、というわけではありません。また、新しいサービスも続々投入予定です。近日中に予定しているのが、掲載カテゴリの増加です。今はサイトの情報を『中国向け輸出』『日本向けのOEM』『中国情報案内』という大カテゴリに分類していますが、小ロットでも直接製品が仕入れられるカテゴリを追加します。今のところ、二○○九年内に実現したいと考えています。もちろん、なんでもかんでも取り扱うのではなく、日本市場に詳しい私たちネットチャイナが、日本で売れそうなものを厳選して紹介します。今後は小規模店舗や個人商店の方にも、メイドインチャイナの展望を語った。
最近の新型インフルエンザ騒動で、日本国内ではマスクが急に品薄になった。マスクに限らず、今後もこうした急激な需要増が起こることも予想されるが、そうしたときにもメイドインチャイナのようなサイトは利用できる。現在同サイトでも、マスクのOEM供給について案内が掲載されているが、いざ、何かを仕入れたい、それも中国から直接安く仕入れたい、というニーズに応えるWEBサイトは貴重だ。
日中間貿易の架け橋になりたいという思いから誕生したWEBサイト「メイドインチャイナ」。今後も、両国の企業が相手国に進出するためのよき情報源として重宝されることだろう。現在対中貿易を行っている会社も、いずれはと考えている会社も、メイドインチャイナ社には要注目だ。日本では、そろそろネットを使ったビジネスも成熟しつつあるが、中国のインターネット普及はこれからが本番。国境を越えたビジネスパートナーとの出会いを求めるユーザーのために、今後もネットチャイナは活動を拡大していくことだろう。